キラキラなママ友に馴染めず孤立…自律神経失調でうつうつとした日々
睡眠不足と疲労からストレスが溜まり過ぎて仕事中のイライラが止まらない、育児の悩みから夜も眠れず、日中も気持ちがふさいで憂うつな気持ちになってしまいがち…。
30〜60代の幅広い世代の女性のなかには、こうした「自律神経失調による憂うつやイライラ」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。
このような自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。
今回は「自律神経失調による憂うつやイライラ」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。
目次
ネガティブまっしぐら! 自律神経失調によるメンタル不調の解消法は?
美香さん(41歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。
ずいぶん長い間不妊に悩み、30代半ばを過ぎてやっと長女を出産して母になることができた私。
赤ちゃんの頃はただただ愛おしくて、どんなに育児が大変でもつらいと思ったことすらなかったのですが、娘が3歳を迎えて幼稚園に入学してからというもの、周りのママ友たちとうまくやっていくことができず、それが大きな悩みになっています。
特に娘と同じ組のママたちは年齢も若く、美意識の高そうな”キラキラ”したママばかり。
横に並んだら地味なオバサンでしかない私は、なかなか彼女たちの輪の中に入っていくことができなかったんです。勇気を出して話しかけてもなかなか話も盛り上がらず、そうこうしているうちにどんどん距離ができてしまって…。
最近では夜もうつうつとしてなかなか眠れず、げっそりした顔で幼稚園に送っていく日々。
私の気持ちに気づきもせずにはしゃいでいるママたちを見るたび、毎日イライラが募って仕方がありません。私自身がうまくやれないことはともかく、そのことで娘がお友だちの家に呼ばれなかったり、仲良くできない状況になるかもしれないと思うと本当につらくて!
連日の寝不足や食欲のなさでネガティブな方向に気持ちが向いてしまうせいか、夫にもイライラをぶつけてしまい、だるさと憂うつ感で家事をするのもおっくうな状態になってしまいました。一体どうしたらこの状況を改善できるでしょうか。
ご質問ありがとうございます。
自律神経の乱れが継続するほどに、メンタル面での不調だけでなくさまざまな体調面での不調や病気を引き起こすこともあるため、早めに対処することが大切です。
今回は自律神経の失調による憂うつやイライラの原因や改善方法について詳しくお伝えしていきましょう。
交感神経と副交感神経のバランスの悪化が原因に
自律神経は、昼の活動時に活発モードになる「交感神経」と夜の安静時にリラックスモードになる「副交感神経」という2種類の神経から成り立ち、体内のさまざまな生命活動を調整するために終日働き続けている神経です。
通常はこの2つの神経が交互にバランスをとりながら切り替わりますが、ストレスの蓄積や不規則な生活によってこのバランスが損なわれると、神経のバランスが乱れ、精神面・肉体面ともにさまざまな不調が起こります。
特に女性は、月経や妊娠・出産や更年期などによって女性ホルモンの変動が激しく起こることもあり、状況や体質、体調によって憂うつ感やイライラなどの精神症状が強く出ることもあります。悪化するとうつ病やパニック症などに発展する場合もあるため、セルフケアで効果が見られない場合は精神科や心療内科での治療を受けるようにしましょう。
また東洋医学では、ストレスから「気(生命エネルギー)」の巡りが悪化し、体内の「気」、「血(血液)」、「水(水分)」のバランスが悪くなることでさまざまな体調不良が生じると考えられているため、症状の予防には「気」を巡らせる漢方薬も有効だと言えるでしょう。
次の章ではこのような「自律神経失調による憂うつやイライラ」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきます。
自律神経失調による不調を改善する対処法3選
1.ストレスの対処に3つのRを実践する
自律神経失調の原因になりやすいストレスの対処には「3つのR」を実践するとよいといわれています。
3つのRとは、
Rest(レスト):休息・睡眠
Relax(リラックス):ストレッチ・音楽などを聴く
Recreation(レクリエーション):運動や旅行などの趣味・娯楽
の頭文字を取ったものです。
ストレス過多だと、しっかり休めず、睡眠も疎かになり、落ち着いて自分の時間もとれていないものです。規則正しい生活を意識して、しっかり休息を取って、音楽を聴いたり、ストレッチをしたりして落ち着く時間を確保をしたり、スポーツや自分の趣味に専念する時間を持てると気分転換になります。
なお朝起きたら日光を浴び、お昼寝をする場合は30分程度までとすると体内時計が乱れにくくなります。
2.自分の考え方の癖を知る・相談する
同じことを言われてもストレスに感じる人と気にならない人がいます。これは出来事をどのように受け止めるかに差があり、感情や行動に差があらわれることを示しています。そのため、自分の考え方の癖に気づくことはとても大切です。自分の感情を書き出してみることもおすすめで、自分が物事をどのように受け止めているかを理解して、ポジティブに見方を変えてみることでストレスが軽減する可能性があります。
また、ひとりで悩むと必要以上にネガティブになりやすいため、家族や友人など身近な人に相談したり、カウンセラーなどを活用しましょう。問題が解決しなくても、話をしたり共感してもらうことで気持ちが楽になることがあります。
3.カルシウムを積極的に摂りましょう
自律神経の乱れによる憂うつ感やイライラ感を抑えるためには、栄養バランスのとれた食事を摂ることも大切です。
特に牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品や小魚、小松菜やほうれん草などの野菜に多く含まれるカルシウムは、神経の伝達に重要な役割を果たし、神経細胞の興奮を抑える働きがあるため、積極的に摂ると良いでしょう。
また、ビタミンB1やビタミンCの不足もイライラのもとになるため、あわせて毎日のメニューに取り入れてみてください。
根本的な体質改善には漢方薬が効果的!
自律神経失調による憂うつやイライラを改善するためには、セルフケアに加えて体質の改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)です。神経質で些細なことが気にかかり、胸が苦しくなる方の「気」を巡らせ、自律神経をつかさどる「肝(かん)」の働きを良くする効果があります。
また、心身の疲労から不眠や熟睡できない症状のある方には、自律神経を整え、胃腸の状態を改善し不眠症状を改善する効果のある帰脾湯(キヒトウ)も良いでしょう。
一方、ホルモンバランスを整えて自律神経の乱れも整える加味逍遙散(カミショウヨウサン)もおすすめです。
生活の乱れは心の乱れ、不摂生を避け規則正しい生活を!
今回は、自律神経失調による憂うつやイライラの改善方法や漢方薬をご紹介してきました。
症状を改善するためには、睡眠不足や不摂生な生活を避けて栄養バランスのとれた食事をとること、適度な運動を心がけることで、乱れた生体リズムを正していくことが大切です。
こうした自律神経の失調にまつわる悩みには、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。