ただでさえ疲れてるのに…口内炎が四六時中気になってストレスMAX!

体験談

疲労やストレスが溜まると決まって口内炎ができてしまい痛くて仕方がない、胃腸が弱っているときに限って頬の内側や唇の裏の粘膜がポツッと赤く腫れてしまう…。
30代〜60代の幅広い世代の女性のなかには、こんなつらい「口内炎」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は免疫力の低下などが原因で発症する「アフタ性口内炎」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

なかなか治らず憂うつに…不快な口内炎を1日も早く治す方法教えて!

千晶さん(47歳女性)、会社員の方からご質問をいただきました。

年齢のせいか、最近すっかり若い頃のように無理がきかなくなり、仕事の疲れやストレスから暴飲暴食に走ったり、睡眠不足に陥ってしまうことが多くなってきました。しかも、そんなときに限って口の中にプチっと赤く腫れた口内炎ができやすく、四六時中気になってさらにストレスを感じるという悪循環に陥っています。
口内炎を少しでも早く治すためには栄養価の高いものを食べたほうがいいのでしょうが、胃が弱っている上に食べるのもつらくて……。仕事で疲れて帰宅し、そのうえきちんとした夕食をつくる気力もなく、そうめんやヨーグルトなど簡単に食べられるものだけで食事を済ませてしまうせいか、ますますエネルギー不足に陥っている気がします。
口内炎さえなければ、と思うものの、やっかいなことに口内炎って、一度できるとなかなか治らないんですよね。この、体調が優れないときに限って追い討ちをかけるようにポチっと現れてくる口内炎をどうにか解消したいのですが、何か良い方法はないでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
口内炎は一度できると完治までに時間がかかることも多く、小さくても痛みや違和感が強いために、一日中ずっと気になってしまいがちですよね。
今回はこうした口内炎の原因や改善方法について詳しくお伝えしていきましょう。

胃腸機能や免疫力の低下、ホルモンバランスの乱れが原因に

口内炎には様々な種類がありますが、ホルモンバランスの乱れや睡眠不足、疲労やストレスが溜まっていたり、胃腸が弱っていたりするときに免疫力の低下から生じる口内炎を「アフタ性口内炎」といいます。
アフタとは口の中の粘膜内で生じる炎症のことで、主に頬の内側や舌、唇の裏などに生じ、黄白色の膜で覆われて周りが赤くなり、痛みをともないます。
アフタ性口内炎は比較的一般的な口内炎でセルフケアで軽快することがほとんどですが、ベーチェット病や潰瘍性大腸炎など、全身の疾患が原因となっている場合もあるため、繰り返す場合は医師の診断を受けることが大切です。

また東洋医学では、口内炎は体内に熱が溜まり、熱邪となって口腔内を刺激して生じるものとされ、消化機能をつかさどる「脾(ひ)」や精神活動をつかさどる「心(しん)」の衰えと深く関係していると考えられています。

次の章ではこのような「アフタ性口内炎」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

口内炎を予防・改善するセルフケア3選

1.生活のリズムを整えて体力の回復を!

口内炎ができる原因の一つに、体の抵抗力や免疫力の低下が挙げられます。
疲労やストレスから睡眠不足が続いている場合は、まずはしっかり休養をとって体力を回復させることが大切です。毎日決まった時間に起床・就寝して生活のリズムを整えるとともに、質の高い睡眠をとるようにしましょう。
そのためにも、自分なりのストレス解消法を見つけてリラックスできる時間を作るようにしたり、ゆったりと入浴したりして質の高い睡眠を得られるように心がけると良いでしょう。

2.胃腸に優しく消化の良い食事を心がける

口内炎ができやすい、何度も口内炎を繰り返してしまう、という方のなかには、暴飲暴食や偏食、間食の摂りすぎなどによる胃腸機能の低下から口内炎ができやすくなっている場合があります。
口内炎ができているときは特に消化の良い食事を心がけ、胃にできるだけ負担をかけないように意識してみてください。また、消化の際に胃腸に負担をかけないためにも、食事はよく噛んでゆっくり食べることが大切です。
しかし、口内炎の痛みで噛むのがつらいときは、柔らかく煮た野菜スープやクリームシチューなど、メニューに工夫をして食べやすく消化に良いものを選ぶようにしましょう。また、辛いなど刺激の強い物は避けるようにしましょう。

3.皮膚や粘膜を守るビタミンB群を摂る

口内炎を改善するには、栄養バランスの摂れた食生活も大切です。体の抵抗力を高め、粘膜の潤いを保つビタミンCや、免疫力を高めるビタミンA、健康な体を維持する亜鉛や鉄を摂ることも大切ですが、口内炎の緩和には、特に皮膚や粘膜を保護する働きのあるビタミンB2が特に有効とされています。
さらに、疲労やストレスの緩和に効果的なビタミンB1、代謝を促して正常な免疫機能を保つ働きのあるビタミンB6もあわせて、毎日の食事の中にビタミンB群を積極的に取り入れるように心がけてみましょう。

◎ビタミンB2を多く含む食材
レバー/青魚/アーモンド/干し椎茸/納豆/卵/乳製品など

◎ビタミンB1を多く含む食材
豚肉/レバー/ウナギ/玄米/小麦胚芽/豆類など

◎ビタミンB6を多く含む食材
赤身肉/鶏ささみ/マグロ/カツオ/バナナ/サツマイモなど

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

口内炎の症状を改善するためには、セルフケアに加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)です。ストレスが強く、胃腸が弱っているときに口内炎ができやすい方の「気(生命エネルギー)」を巡らせて胃腸の働きをサポートし、症状を緩和する効果があります。
また、胃腸の働きを整えて体力を回復させて元気を取り戻し、サポートをする補中益気湯(ホチュウエッキトウ)も良いでしょう。

一方、月経前などホルモンバランスの乱れによって口内炎ができやすく、痛みや腫れの強い方には、体に溜まった熱をとり、炎症を鎮める効果のある黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)も良いでしょう。

規則正しい生活で体の抵抗力&免疫力を高めよう!

今回は、アフタ性口内炎に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善には、疲労やストレスを溜め込まず、生活のリズムを整えて体の抵抗力や免疫力を高めること、弱った胃腸の機能を回復させることが大切です。
こうした口内炎の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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