痩せていても高コレステロールの危機に!動脈硬化を防ぐにはどうすれば?
最近急激にコレステロール値が高くなってきた、同年代でコレステロール値を下げる薬を飲んでいる友人が増えてきた…。急なコレステロール値の悪化は、「動脈硬化」を引き起こす一因に!
そんな自分ではどうにもならない更年期症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。
今回は「閉経後の動脈硬化」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。
目次
自他共に認める健康美人から高コレステロールの不健康おブスに転落!
綾子さん(49歳女性)、広告会社勤務の方からご質問をいただきました。
職業柄、人と会う機会も多く、見た目には気を使ってきたつもりです。体重も20代の頃から変わらず、それなりのプロポーションを維持してきましたし、特に大きな病気をすることもありませんでした。
ですが、閉経を迎えたあたりから状況は一変!
会社の健康診断で信じられないほどコレステロール値が跳ね上がり、その後の再検査でも、「改善しなければ動脈硬化の可能性あり」と言われてしまったんです。コレステロール値って、太っている人しか高くならないと思い込んでいたのですが、そんなことないんですね…。
おまけに、肩こりや頭痛、腰痛など身体中が痛くて腰は曲がるし、冷えからなのか、むくみもひどくてハイヒールも履けなくなってしまいました。
コレステロール値が高いと色々な病気につながるとも言いますし、父が動脈硬化を患っていたので、私も同じようになるんじゃないかと不安で…。
この不快な症状を改善しコレステロール値を正常に戻す方法はないでしょうか?
ご質問ありがとうございます。
閉経後に、コレステロール値の高さと様々な症状に悩んでいらっしゃるとのこと、おつらいですね。
それでは今回は、閉経後の動脈硬化の原因や改善方法についてお伝えしていきましょう。
閉経によるエストロゲン減少と「血瘀」が動脈硬化の原因!
動脈硬化とは、動脈の血管の壁が老化して硬くなり、血管の内側に脂肪がこびりついて血液が詰まりやすくなった状態です。
その三大原因の一つが高脂血症。これはLDL(善玉)コレステロールや中性脂肪が高い状態のことをいいます。
女性の脂質代謝は、エストロゲンという女性ホルモンの影響が強く、エストロゲンには女性の血管を守る働きがあるため、閉経前の女性ではコレステロール値が異常になることはほとんどありません。
しかし閉経するとエストロゲンが少なくなり、脂質代謝が変動します。また、動脈硬化を抑える働きのあるHDL(悪玉)コレステロールは、閉経すると低下してしまうため、閉経後の女性は動脈硬化が起こりやすい状態になっているのです。
東洋医学の考え方では、血液の巡りが悪い状態を「血瘀(けつお)」といいます。血液の質がドロドロして滞っている「血瘀」の状態では、血管も詰まりやすくなり、動脈硬化を招く一因になります。
次の章ではこうした閉経期特有の悩ましい症状に対する具体的な解決方法をお伝えしていきましょう。
今日から始めよう!動脈硬化予防のための4つの簡単ケア
1.食生活を改善しよう
動脈硬化を予防するうえで、食生活はとても重要な要素。ここでは、動脈硬化を予防するための3つの目標達成(①LDLコレステロールを下げる②中性脂肪を下げる③HDLコレステロールを上げる)のために効果的な食生活のヒントについて紹介します。
●適正体重のキープ
適正な体重の目安は、「身長(m)×身長(m)×22」(kg)です。食べ過ぎず、適正体重をキープするようにしましょう。(※身長が165cmの方は1.65mで計算)
●制限すべき食品
LDLコレステロールを上げ、動脈硬化のリスクになると考えられている食品。
飽和脂肪酸:肉類の脂身や鶏肉の皮・ラード・バター・乳脂肪・ココナッツミルクなど
トランス脂肪酸:マーガリン、ショートニングなどを使った食品・工場生産の揚げ物など
コレステロールを多く含む食品:卵類(鶏卵や魚卵)、内臓類(レバーやモツ)など
糖質&アルコール:砂糖や小麦粉を使ったお菓子・パン・パスタ・お酒など
●積極的に摂取すべき食品
LDLコレステロールを下げ、動脈硬化を防ぐと考えられている食品。
食物繊維:精白度の低い胚芽米・麦飯・全粒粉・蕎麦・野菜類・海藻・きのこ・こんにゃく・豆類など
n-3系多価不飽和脂肪酸:青魚・シソ油・エゴマ油・アマニ油など
2.有酸素運動を習慣づけよう
有酸素運動は中性脂肪を低下させ、HDLコレステロールを上げる効果があります。
速歩きや水泳、サイクリングなどの有酸素運動を1日30分、週3日以上継続してみましょう。
3.何はなくとも禁煙を!
たばこを吸ってニコチン、タール、一酸化炭素が体に入ると、それだけで動脈硬化のハイリスク群に!喫煙習慣のある方は、まずは禁煙をしましょう。
4.大豆イソフラボン(エクオール)をとる
豆腐や豆乳などの大豆製品に含まれるイソフラボンには、女性ホルモンのエストロゲンとよく似たエクオールをつくりだす効果があるため、LDLコレステロールを減らし、動脈硬化のリスクの軽減が期待できます。
サプリでもいいので取り入れてみましょう。
根本的な体質改善には漢方薬が効果的!
動脈硬化の原因となるコレステロール値を改善するため、ホルモン補充療法や薬物療法を受けるという選択肢に加えて、根本的な改善を目的とした漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方にオススメしたい漢方薬は、桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)です。
「血瘀」の解消といえばこれ!というほど代表的な漢方薬で、血の巡りを整え、滞った血の滞りを解消して血行をよくする効果があります。インスリン抵抗性の改善効果があることが最近わかりました。
また、かくれ肥満や固太り肥満タイプで、のぼせやほてり、便秘やイライラなどがある方は、ホルモンバランスを整える作用もある桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)も良いでしょう。
将来の大病リスクを放置せず予防策の実践を
今回は、閉経後に起こりやすい動脈硬化が不安な方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
動脈硬化をそのままにしておくと、心臓の病気(狭心症や心筋梗塞など)のリスクが高くなり、命にかかわることがあります。通院していなくても、気になることや分からないことがあれば、気軽に薬剤師や漢方薬局に相談してみてください。
将来に備えて、今のうちから健康的な生活習慣と体質を身につけておきましょう!