眠れないまま朝になったらどうする?1日の乗り切り方を紹介

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なかなか寝付けないまま朝になった経験ありませんか? 休めるのであればいいのですが、疲労がたまっている状態で仕事や家事をしなければならないのは非常につらいものです。ここでは眠れないまま朝を迎えてしまったときに1日を乗り切る方法を紹介します。

眠れないまま朝になったときの1日の乗り切り方

眠れずに朝を迎えた女性

眠れないまま朝になってしまったら、次のような対策を試してみましょう。1日をなんとか乗り切るための工夫と、眠れない日が続かないようにするための工夫を紹介します。

カフェインを摂取する

カフェインには覚醒作用があるため、コーヒーや緑茶、紅茶など、カフェインの入った飲み物を飲むと眠気を抑えることにつながります。カフェインの覚醒効果が現れるまでには15〜30分ほどかかり、持続期間には個人差があるものの、2時間半〜4時間ほどといわれています。

ただし、効果が切れたからといってカフェイン飲料を飲み過ぎるのはオススメしません。カフェインの過剰摂取は不眠や胃腸の不調、カフェイン中毒やカフェイン依存症、精神的な不安定につながることもあります。

仮眠をとる

一睡もできずに徹夜の状態になると、日中に強烈な眠気に襲われることがあります。そんなときは、短時間の仮眠を取るのがオススメです。適度な昼寝には、脳の疲労回復の他、気分の改善、リラックス効果、集中力の向上、仕事の効率アップなどの効果が期待できます。

頭がスッキリすることで気分がよくなる可能性もあるため、昼休憩などの時間帯に、20分ほどの仮眠を取ることをオススメします。

なお、長く寝過ぎてしまうと、仮眠からの目覚めが悪くなったり、夜の寝つきがまた悪くなってしまう可能性があるため、必ず20分ほどにとどめておくことが大事です。仮眠は遅くても15時までに取りましょう。15時以降の時間帯の仮眠は、体内時計の乱れにつながります。

徹夜後は疲労回復に努める

睡眠は人間にとっては必要不可欠です。徹夜となってしまったときは、疲労回復に努めましょう。めまいや頭痛、吐き気などの症状がある場合や、起き上がれないほどの強い倦怠感がある場合は無理をせずに休むことが大切です。

仕事の量や順番を調整する

寝不足になると、集中力や思考力が低下してしまいます。仕事に支障が出てしまうかもしれないため、可能であれば仕事の量を減らしましょう。仕事の量を減らすのが難しい場合は、午前中のうちに複雑な仕事を片付け、午後に単純な作業を行うように順番を調整しましょう。

朝ごはんを食べる

笑顔で朝食を食べる女性

寝不足の日はしっかりと栄養を摂取して、活動のためのエネルギーを摂取することが大事です。普段朝ごはんを摂らない方でも寝不足の日はしっかりと栄養を摂りましょう。食生活の乱れを感じている人は、体の中からケアすることも大切です。

また、食事から睡眠の質の改善・向上をはかれます。睡眠の質を向上させる栄養素としてはトリプトファン、グリシン、GABA、マグネシウムなどがあります。

トリプトファン

青魚や乳製品などに含まれる必須アミノ酸の一種で、体内では作ることができないため食べ物から摂取する必要があります。睡眠の質の向上に必要となるセロトニンやメラトニンのもととなる重要な栄養素です。

グリシン

肉類や魚介類に含まれるアミノ酸の一種です。身体の末端部分の血流を増やして深部体温(内臓部分の熱量)を下げる働きがあります。深部体温を下げることで、睡眠の質の向上につなげます。

GABA

発芽玄米などに含まれる栄養素で、アミノ酸の一種です。神経の興奮を鎮めたり、抗ストレス効果がある睡眠に重要な栄養素であり、多くの睡眠薬にGABAの作用を強める成分が配合されています。

マグネシウム

300種類以上もの酵素を活性化させ、体温や血圧の調整、神経情報の伝達、筋肉の収縮などに役立つ必須ミネラルの一つです。マグネシウムはメラトニンの他、睡眠に関係するレニンと呼ばれるホルモンの働きに関わっています。マグネシウムが不足すると睡眠障害の原因となるため、意識して摂るようにしましょう。

日光を浴びる

朝はカーテンを開けて、日光を浴びましょう。メラトニンは脳の中の松果体(しょうかたい)と言われる部位で生合成されるホルモンです。太陽の光を浴びると、網膜から入った外界の光刺激は、体内時計(視交叉上核)を経て松果体に達します。

明るい光でメラトニンの分泌が抑制されます。そのため、日中はメラトニン分泌が低く、夜間に分泌量が十数倍に増加します。それは、窓のない密室内などでも、体内時計によって昼に低く、夜に高いという状態は続きます。

メラトニンには、自然な眠りを誘う作用があります。そのほかにも抗酸化作用によって細胞の新陳代謝を促したり、疲れをとってくれるために、病気の予防や老化防止にさまざまな効果を持つため、日光を浴びるのは非常に大事です。

眠れないまま朝になる日が続くのは不眠症の可能性も

睡眠の相談に乗る医師

心配事や試験の前日、旅行先などさまざまな要因でどうしても眠れないまま朝になる体験は誰しももっているものです。しかし、通常は数日から数週のうちにまた眠れるようになります。

しかし、時には不眠が改善せず長期間にわたって続く場合があります。不眠が続くと日中にさまざまな不調が出現するようになります。倦怠感や意欲低下、集中力低下、抑うつ、頭重感、めまい、食欲不振など多岐にわたります。このように夜間の不眠が続き、日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下するとき、不眠症と診断されます。

一般成人の30〜40%が何らかの不眠症状を有しており、女性に多いことが知られています。原因としてはストレス、精神疾患、神経疾患、アルコール、薬剤の副作用などさまざまです。実際、日本では成人の約5%が不眠のため睡眠薬を服用しています。原因を取り除いても不眠が続く場合は一度医療機関を受診して相談してみましょう。

いかがでしたでしょうか。眠れないまま朝になってしまうと思考力も低下してどうしたらよいかわからなくなってしまいます。できるだけ疲労回復に努め、1日をいかに消費エネルギーを減らして過ごすかが重要になってきます。ここで紹介した方法を参考にして自分なりの過ごし方を見つけてみましょう。

白水寛理

九州大学病院 脳神経外科 医師   九州大学大学院医学研究院脳神経外科にて脳神経学を研究、高血圧・頭痛・脳卒中など脳に関する疾患に精通。臨床の場でも高血圧、頭痛、脳卒中など脳に関する治療にあたる。 日本脳神経外科学会、日本脳卒中学会、日本小児神経学会、日本てんかん外科学会、日本脳神経血管内治療学会に所属。

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