夫がトイレに起きただけで朝まで眠れず悶々…浅すぎる睡眠を改善したい!

体験談

せっかく眠ったのに夜中に目が覚めてしまう、頑張ってもう一度寝ても1時間ほどでまた目が覚めるのでちっとも寝た気がしない……。
それは、もしかしたらプレ更年期(30〜40代)や更年期(40〜50代)に起こりがちな「中途覚醒」の症状かも!?

そんな自分ではどうにもならない更年期の不調やつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「更年期の中途覚醒」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。 

仕事での緊張感と焦りからか、落ち着いてゆっくり朝まで眠れません!

千晶さん(48歳女性)、広告業の方からご質問をいただきました。

このところ、眠りが浅すぎて困っています。もともと仕事も不規則なため、長時間の睡眠は取れないことが多かったのですが、40代前半までは短時間の睡眠でもぐっすり眠ることができて、それなりに疲れもとれていたんです。ところが、ここ数年は仕事のスケジュールがタイトになるほどに眠りが浅くなってしまって…。
疲れているので眠れることは眠れるのですが、2〜3時間ほどで目が覚め、そこからは目が冴えて眠れなくなってしまうんです。仕事のことで追い詰められているのか、なんだかドキドキしてしまって、夢の中でもずっと考え事をしているような感じです。隣で寝ている夫がトイレに起きた物音がしただけで、目が覚めてしまったり……。
もう一度眠れればまだいいのですが、それっきり眠れず朝になってしまうこともたびたび。毎朝疲れ果てた状態で出社しています。
仕事中も耳鳴りやめまいがすることがあり、大きな病気につながらないか心配です。どうしたら朝まできちんと眠れるようになるでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
夜中に何度も目が覚めてしまって寝付けない、といった症状は慢性的に疲れた状態に陥ってしまうため、大きな悩みになりがちですよね。
今回は、更年期の中途覚醒の原因や改善方法についてお伝えしていきましょう。

ホルモンバランスの乱れと「気」の巡りが中途覚醒の原因

更年期の中途覚醒は、女性ホルモンが激減することが原因。自律神経のバランスが乱れたり、プロゲステロンによる催眠作用が少なくなると考えられています。
また、加齢によって睡眠が浅くなることに加えて、更年期特有の症状(のぼせ・発汗・動悸など)自体が睡眠を妨げていることも多いです。

東洋医学では、眠りには「気」が関連していると考えます。不眠の要因となる疲労やストレスは「気」の巡りを邪魔して滞らせてしまうのです。

次の章では、こうした更年期特有の睡眠に関わる症状への具体的な解決方法をお伝えしていきましょう。

実践しよう!「朝までぐっすり眠る」方法3選!

1.有酸素運動&ストレッチを実践しよう

ジョギングやウォーキング、水泳などの中程度の有酸素運動にはストレスの解消や自律神経を整えるはたらきがあり、良質な睡眠を促してくれます。
激しい運動はかえって寝つきが悪くなるので注意。自分に合った無理のない運動を継続しましょう。
また、寝る直前の運動は、興奮作用と体温上昇によって入眠を妨げますので、リラックスできる軽いストレッチがオススメ。
筋肉のこわばりが和らぐと自律神経のバランスが整うメリットがありますので、積極的に取り入れてみましょう。

2.ぬるめのお風呂にゆっくり入ろう

手足が冷えていると、なかなか寝つけないことが多いですよね。
寝る前には、お風呂に入って手足をじっくりと温めましょう。38℃程度のぬるめのお湯で25~30分ほど入浴することで血行が良くなると、スムーズな入眠につながります。
夏場や時間がないときは、足湯や半身浴でもOKです。その場合は、少し温度をあげて40℃程度のお湯で30分ほど入浴しましょう。
温度を上げてしまうとかえって疲れて眠れなくなってしまうので注意してくださいね。

3.就寝前の飲酒や喫煙はやめましょう

就寝前には、興奮作用のあるカフェインやニコチンの摂取はなるべく避けるようにしましょう。
カフェインを含む食べ物(コーヒー、紅茶、緑茶、チョコレートなど)やタバコは、神経を刺激して深い睡眠を妨げる原因に。夕方以降はカフェインを含む飲料を避けるなどもよいでしょう。
就寝前の飲酒は寝つきは良くなりますが、眠りの質を低下させることがわかっていますので控えましょう。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

中途覚醒の症状を改善するために、薬物療法やホルモン補充療法を受けるという選択肢に加えて、根本的な改善を目的とした漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に効果的な漢方薬は、酸棗仁湯(サンソウニントウ)です。体力がなく、心身が疲労して夜中に何度も目が覚めてしまう方の神経の高ぶりを鎮めて熟眠できるようにする効果があります。同様に疲れているのに眠れなく、疲れが取れない方には、体力気力を補う加味帰脾湯(カミキヒトウ)もオススメできます。
また、眠りが浅く、ちょっとしたことで目覚めてしまう神経過敏な方には、気分を落ち着け体力を補う柴胡桂枝乾姜湯(サイコケイシカンキョウトウ)も良いでしょう。

朝までぐっすり眠れる、快適な日々を過ごしましょう

今回は、中途覚醒に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
寝る前の入浴やストレッチ、カフェイン飲料や就寝前のアルコールの制限も有効なので、ぜひ実践してみてください。
睡眠障害にはさまざまなタイプがあり、体質によっても改善方法はいくつもあります。
漢方薬が有効な症例もたくさんありますので、セルフケアでなかなか改善しない場合は、お気軽に漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。


関連記事