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小さな物音にもドキッ! 夜中に目覚めたら最後、朝まで眠れない生理前…。

体験談

生理前になると、疲れて眠っても夜中に目が覚めてしまう、たいして眠っていないのに明け方に目が覚めたきり眠れなくなる…。それは、もしかしたら月経前症候群(PMS)による中途覚醒の症状かも!?
実は、多くの女性が月経前に起こるさまざまな症状に悩んでいます。

自分ではどうにもならない生理時の不調やつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「生理前の中途覚醒」をテーマに薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

生理前に限って眠りが浅くて睡眠不足…ストレスが溜まる一方です

玲子さん(36歳女性)、公務員の方からご質問をいただきました。

このところ、真夜中や明け方に目が覚めてしまうことが多く、睡眠不足に悩んでいます。とはいえ、毎晩眠れないというわけではないんです。月経前症候群(PMS)のせいなのかわかりませんが、生理前に限って眠りが浅くなるみたいで……。
ちょっとした物音や携帯の小さな通知音などに、びっくりして目が覚めてしまうほどで、少し神経が過敏になっているんだと思います。
夜中に目が覚めてもまたすぐ眠ることができればよいのですが、一度目がさめると妙に覚醒してしまうんです。それで今度はなかなか眠れなくなってしまったり、眠れてもまた目が覚めてしまったりの繰り返しで、朝を迎えても少しも体が休まった気がしません。翌日もなんだかとてもだるいまま出社して集中もできず、何もかもが消化不良な気がしてストレスが溜まる一方です。
なんとか朝までぐっすり気持ちよく眠れる方法はないでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
生理前になると眠くなるという症状は多いのですが、逆に眠りが浅くなり上手く眠れなくなってしまうというのも月経前症候群(PMS)症状のひとつに数えられます。
今回は、生理前に起こる中途覚醒の原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

中途覚醒はホルモンの変化と自律神経の乱れが原因

夜中に目が覚めてしまう中途覚醒は、月経前のホルモンバランスの急激な変化が原因。
本来、私たちは体の内部の温度が下がることで眠りに入ることができます。しかし、月経前は女性ホルモンのプロゲステロンの働きで体温が上がって体内に熱がこもってしまうため、熟眠しづらくなるのです。

また、東洋医学的な見方では、月経の前は「気・血・水(生命エネルギー・血液・水分)」が滞りやすくなると考えられています。
「血」の不足や滞り、それによって「気」の巡りが悪化することからくるストレスや、自律神経の乱れも、眠りが浅くなり目が覚めやすくなる原因といえるでしょう。

次の章では、こうした月経前の中途覚醒に対する具体的な解決方法をお伝えしていきますね。

朝まで快眠するための簡単セルフケア3選

1.寝る前には湯船でしっかり体を温める

朝までぐっすりと眠るためには、深くて質の良い睡眠をとることが大切です。
基礎体温が高い月経前の時期にこそ、寝る前はしっかり入浴して体を温めましょう。体の熱が冷めていくときに就寝すると、深い眠りに入ることができます。
寝る時間を確保するためにシャワーで済まそうなどと考えずに、38℃〜40℃程度のお湯に15分〜20分ほど時間をかけてしっかり浸かるようにしましょう。

2.体に合った寝具で眠りましょう

ぐっすりと眠るためには、寝るときの環境も大切です。お部屋の温度や、寝具は快適でしょうか。お気に入りのアロマオイルを寝る前にたくのもいいですね。
寝具に関しては、ベッドマットの硬さや枕の高さ、布団の重さなどを見直して心地よさを追求してみましょう。
また、途中で目を覚まさず朝までぐっすり眠るためには、部屋のライトやテレビをつけっぱなしにせず、しっかり暗くして眠りにつくことも大切です。

3.寝る前の飲酒やカフェイン摂取をやめる

眠れないからといって寝る前にアルコールを摂取すると、利尿作用によって夜中にトイレに行きたくなってしまったり、筋肉の弛緩作用によって眠りが浅くなります。
また、カフェインには覚醒作用や神経を興奮させる作用があるため、夜に摂ることで快眠を妨げてしまう可能性があります。
夕方以降はコーヒーなどのカフェインの摂取を控えてみましょう。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

月経前の中途覚醒を改善するために、市販薬や病院での処方薬などに頼るという選択肢に加えて、根本的な改善を目的とした漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、酸棗仁湯(サンソウニントウ)です。体力が低下して心身が疲労している人の不眠に用いられます。穏やかな催眠・鎮静作用があるという酸棗仁が含まれ、睡眠のリズムが乱れて夢見が多い、熟睡感がないという場合に適します。
また、神経過敏で少しの物音などでも眠れなくなる方には、不安をやわらげる効果のある桂枝加竜骨牡蠣湯 (ケイシカリュウコツボレイトウ)もオススメです。
一方、月経の影響で不眠やイライラ、疲れやすくほてりも感じるような場合は、加味逍遙散(カミショウヨウサン)がオススメです。

体を温め快適な睡眠環境を整えましょう

今回は、月経前の中途覚醒に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
しっかり湯船に浸かって体を温めるのはもちろん、睡眠環境を整えることで質が良く持続的な睡眠を取れるように工夫することも大事です。
また、月経前の中途覚醒には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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